(D008)遺産分割協議 認知症の母へ成年後見人選任を申し立てる手続きに必要な資料 自分の経験
1.はじめに
自分の事例では、遺産分割協議を進める前に認知症である母に成年後見人を付ける必要がありますので、私が申し立て人(母に後見人を付けることを頼む人)となりました。
何が必要だったのか、実際に何の書類を出したのかを書いておきます。
もし皆さんが似た立場になった場合の参考としてください。
2.弁護士からの資料提出依頼(2021年4月)
以下の資料を要請されました。
① 本人情報シート(裁判所所定の様式)
本人の普段の様子を知る人が書く。自分の例では、既に入居したグループホームでの母の様子を記入するのが良いと考えました。
そこで、グループホームの施設長に後見人選任を申し立てる事を告げ、本人情報シートを記入するように依頼しました。しかし記入は断られました。
契約上兄が母の身元引受人だったので、それ以外の人の依頼は受けないという理由でした。
弁護士にその旨連絡したところ、これが無くても選任は行われるとの事でした。
② 診断書(裁判所所定の様式)
認知症である母についての医者の診断書を取得しました。
医者に本人を連れて行って検査を受け、所定の様式に記入することを依頼しました。
当日の所要時間は1時間以下。文書を作成してもらうのに約1ヶ月かかりました。
私の事例では、普段この医者に母を連れて来ているのは兄であり、診断書を依頼したのは私であったので、医師が発行していいものか戸惑っていました。
私は、兄と争っているなどの事情を説明し、この件で兄が医師に文句を言ったら、私と弁護士が責任を負う旨を告げ、診断書の発行を進めてもらいました。
③ 健康状態に関する資料の写し
介護保険認定書、障害者手帳、療育手帳等、公的に認定している要介護度などを示す資料。
私の事例では、介護保険認定証(昔の紙の保険証のような形状)のコピーを提出しました。
介護保険認定証はグループホームが原本を持っていました。
④ 母の収入についての資料の写し
年金額決定通知書、確定申告書等
⑤ 母の支出についての資料の写し
各種請求書、領収書納税通知書(請求書)国民健康保険料
④、⑤は、いわゆる「ねんきん定期便」のコピーを提出しました。
ここから健康保険料などの金額が把握できます。
⑥ 母名義の預貯金通帳の写し(表紙、中表紙)
⑦ 生命保険、損害保険についての資料の写し
「契約者」になっているもの、「受取人」になっているもののいずれも必要
⑥、⑦は、この依頼があった時点で母の財産調査は既に終えていたので、すぐに資料を揃えられました。(記事番号A010参照)
⑧ 母の負債についての資料の写し(債務がある場合)
その返済予定表、返済明細書、金銭消費貸借契約書等。直近の残高が分かるもの
⑨ 母名義の金融資料(該当がある場合)
母名義の投資信託、株式等の有価証券についての資料の写し証券会社からの通知書、残高証明書等
3.その他の必要書類
・「登記されていない事の証明書」取得のための委任状
被後見人がすでに被後見人として登録されていないことを証明する書類を取るのを申立人が行うだが、これを弁護士が代行するので、委任状が必要でした。これは弁護士が用意した様式が来たので私が署名、捺印(3文判)しました。
・母の略歴、病歴
略歴は学歴と職歴。病歴は、大きな手術、入院など。
該当年が正確でなくても、概要がわかればよい。
・今まで母のために自分が立て替えた費用とその明細(自分に対する母の負債となる)
4.終わりに
項目2の書類は、兄との対立が鮮明化する前から私の手元に引き上げてありました。必要書類は自分の手持ちでほぼ揃っており、資料提出に問題は生じませんでした。
もし不足する書類がある場合でも、なくてもOKな書類もあるので弁護士に相談すればよいと思います。
どうしても必要な書類を兄が持っている場合、弁護士から兄へ資料提出を要請するとの事でした。ただし、成年後見人を選任申し立てすることに異議がある相手へ資料提出を要請する場合、難航するかもしれません。
母の財産調査は既に終えていたので、すぐに資料を揃えられたのは幸いでした。可能な時にできる限り調査をしておくと選任申し立てが進みやすいです。(記事番号A010参照)
2-②の診断書で、医師が母の性別を誤記入していることを弁護士へ書類を送付した後に気付くことがありました(控えのコピーを見ていて気付いた)。この部分の訂正対応で約1ヶ月の時間を浪費しました。提出書類は必ず確認しましょう。
成年後見人の選任申し立ては、遺産分割協議だけでない目的で必要な場合があります。
必要となった方に少しでも参考になる事があれば幸いです。
※書籍でわかるような法律や手続きの流れはここに記載していません。市販の書籍を参照してください。
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