相続の経験をまとめます。

老親を亡くした後の手続き、相続のトラブルや様々な経験を通し、知恵をまとめます。記事のリストは上のタイトルをクリックしてください。

(E004)調停終了後  後見人との打ち合わせ

はじめに

調停終了後に母の成年後見人と話をしましたのでその内容をまとめます。

調停が終了し、各相続人への遺産配分が決まり、現預金の配分も決まりました。
預貯金は一旦私へ集約して配分することに決まりましたので、
亡父の預金を調停調書を根拠に3口座を解約して一旦私の口座へ集約し、
母、兄の銀行口座への振り込み作業を行いました。
このほか、私の弁護士への報酬と必要経費の金額も振り込みました。
これで、亡父の遺産分割が完結しました。
父が亡くなってから2年9ヶ月経っていました。

一区切りついたので、後見人と面談し、調停が終了したことのお礼を述べ、後見中の母の今後の事や兄の事を質問しました。

1.後見人の今後の業務とその終わりについて


Q;今後の流れは。
A;母が亡くなるまで今まで通りの業務を継続する。財産管理を基本とし、万一入院などがあった場合や、入居施設を変わるなどの時はその契約や費用支払いなどを行う。※医者に連れていくなどの実務や受ける医療の方針などは家族が決める。

Q;母が亡くなった場合、後見人はどこまで行ったうえで業務終了と考えればよいのか。
A;死亡時までの医療費支払いが終了し、口座を死亡届により凍結し、財産を遺族に引き渡したところで業務を終了する。


法的には死亡時点で後見人の業務は終了なのだが、現実には上記まで行うのが実態。

遺族が揉めて医療機関に医療費が支払われなくなる事態を防ぐため。ただし、遺族からの強い要請があればこれはやらない可能性あり。

※被後見人死亡後の業務は、裁判所に許可を得たうえで行うとのこと。
余談だが、故人の葬儀などの実行を遺族の誰もが拒否した場合、埋葬までの対応を後見人が対応する例がある。

この時とは別に、母が亡くなった時の葬儀の時に備え、事前に母の口座から現金を引き出して備えておくことができるのかを弁護士(別の人の成年後見人をやっている)に聞いた。

答えはNO。被後見人の財産管理の趣旨に反するためとの事。


Q;被後見人である母の実印の効力はどのように考えればよいのか
A;現在は効力はない。しかし保管しておいてほしい。
 現在は効力はない。しかし仮に何らかの理由で被後見人の判断能力が復活した場合、後見人の必要はなくなり、実印が必要となるため。通常はあり得ないが、そのようなことが(医療の進歩などで)あった時のために保管はしておいて欲しい。

Q;マイナンバーカードについてはどうすればいいのか
A;保管しておいてほしい。
現時点では番号だけ把握していれば実務はでき、原本を使う機会はないため。


参考:マイナンバーカードを保険証化することが進められている。被後見人のマイナンバーカードとしての保険証をどういう形で使い、保管していくのかは(後見人情報では)何も決まっていないとの事。
私の母を例とすると、母がいるグループホームが医療が必要な時に備えて保管することも考えられるが、それでは紛失時に問題が生じると考えられる。


2.兄について


私の兄と接した時の後見人の印象などを聞いた。

(これは後見人の業務とは関係ないため、気軽には言えないことを踏まえた発言を総合して)

Q;調停実施時に兄と後見人は同室で待機していた。その時や調停員との話し合いの時に抱いた兄の印象は?
A;・兄からは雑談を含め、待機中に発言がほぼなかった。
  ・兄は調停員との会話でもほとんど意見を出さなかった。

  ・調停員から「〇〇は××ということでいいですか」と確認されたことに対し、返事をするだけのことが大半であった。

 

打ち合わせ中に後見人から「今回の経験を踏まえ、お母さんが亡くなった時の遺産分割は、調停の場で解決したほうが良い。」とのコメントがあった。
これは、調停の進行に立ち会った時に受けた兄の印象を踏まえての後見人の言葉であると私は受け止めました。

Q;兄は相続した不動産の移転登記は行ったのか?
A;不明。
私は、調停終了後に、後見人(司法書士)が兄の不動産登記と自動車の所有者移転手続きを請け負ったものと想像してこの質問をしました。
しかし後見人は、調停で係わった関係者に関するその後の業務(上記の例)を請け負うことはしない方針との事。もし依頼が来た場合は他の司法書士を紹介する。
理由は、一旦その家族の業務を請け負ったことをきっかけに新たな業務を値切られることを警戒しているため。

3.その他

後見人は「調停まで行って相続を解決する事例はあまりない」と独り言のように言っていた。どうやら遺産分割協議で調停進むような私の事例はレアなケースのようだ。

今まで兄と私両方を知っているある人は、「(兄は)”特別な”性格な人なので(私は)いままでずっと苦労してきたのだろう」と言っていた。やはり私の兄は”特別な人”のようだ。
そのような人にまさに振り回された今回の遺産分割協議であった。

次回の遺産は現預金だけであり、不動産がないので協議は楽である。
しかし、兄弟間だけの話し合いはしたくないし、出来ない。上記のような第3者の意見もある。
次回は弁護士を立てずに私自身が調停を申し立てようと考えています。
今回の経験が活かせると思うので。

調停中でどのような行動例が兄にあったのかは今後記述していこうと思います。

しかし世間の人たちは、良心的に、または、司法書士などの裁量だけで本当に解決できているのだろうか。私は分からない。

調停まで経験した立場で言える調停のメリットを1つ書いておきます。
調停調書(調停で決まった内容を裁判所がまとめて発行したもの)の謄本は、あらゆる手続きに有効である。
銀行口座の解約を行う場合、遺産分割協議書の場合は相続人全員の署名や捺印(割印もある)、全員の印鑑証明書の準備などが必要になるが、調停調書があれば根拠はこれ1つでOKで、実印印鑑も(自分の決定内容の場合)私のだけでOKだった。
不動産や車の所有権移転なども法的根拠がこれ1つでOKである。

 

4.私の感情と、終わりに


調停についての一連の経緯は、私は「楽しい」と感じました。

法律のようなことが好きなことが第一ですが、
”特別な人”と直接対峙せずに物事が解決していく気分の良さのほか、
弁護士が行う交渉の考え方の大切さと半面での恐ろしさ、
そして普段できない経験ができた事(←経験しないほうがいいのだが)。
勿論、費用と時間、手間、有給休暇がかかりました。
終結論も不利な部分ができてしまいました。
それでも気分の良さと楽しさを感じました。
自分も「特別な人」なのかもしれません。
そんな風に感じる自分だからこのブログができているのかもしれません。

よろしければ、今後の作成していくまとめも参考にしてください。

自分の経験が誰かの参考となれば幸いです。