はじめに
故人との別れを大切にしたい。
その時は他の事は考えたくない。それだけの気持ちでいたい。
そう思う事と思います。
しかし、亡くなった事をきっかけにトラブルとなってしまうと、遺族間で不仲となり、2度と会いたくない、となってしまう。
そうなってしまう原因は、金銭面に由来することも多いのではないかと思います。
不仲になってしまうと、以下のことにある可能性があります。
・仏壇を拝めない。
・法事ができない。
・残された老親のことを考えるたびに他の遺族のことも考えることになり嫌な気分になる。そのため、遺族間で協力体制が取れない。
・残された老親に会うことさえもためらうことが多くなる。
・残された老親が入院した場合、遺族間での話し合いを避けたくなってしまう。その結果、親に寂しい思いをさせてしまうかもしれない。
皆さんにはそのようになってほしくない。
できるだけそうならないように、金銭事をスムーズに処理していけばトラブルへ至ることを減らせると思うのです。それが、私がこのブログを続ける目的の1つです。
今回は私の葬儀の経験から、お金に関して思ったことを書こうと思います。
1.葬儀前 (香典、花輪代等)
親が亡くなった事を親戚に伝えた際に(記事C002参照)に、葬儀に欠席する方からは、香典と花輪の代金を合わせて送られてくると思いますので、
誰からいくら頂き、
何(香典、花輪代)にいくらを適用するのか
を明確にまとめておく必要があります。
これは重要です。
2.葬儀前~葬儀後しばらくの間;費用の立て替え
葬儀では、費用の関連で誰かが費用を立て替えておく場合が多くなります。
・葬儀本体(*)
・火葬場の使用料(現地払いや葬儀屋経由もありえる)(*)
・葬儀終了後に来た香典のお返しを葬儀屋に頼む場合
など。
これも、
何の費用を
いくら立て替えたのか
を、立て替えた人が明確にまとめておく必要があります。
領収書は確実に保管することは言うまでもありません。
これらが明確でないと後で絶対に混乱しますし、
・立て替えが戻ってこない
・金額が足りない気がするが根拠がなく不満が残る
などがありえます。人任せにするとあとで自分が損をします。
3.参考
①立て替えを行う際は、親の財産から返してもらうことを基本としてください。
②相続税の計算では、親の葬儀費用は基本的に親の財産(預金)から拠出し、残金から相続税の計算、遺産分割協議が進んでいきます。
立て替え金は、立て替え人への返金清算に加え、相続税の計算という点でも非常に重要です。
※相続税の計算上で葬儀費用の例は上記の(*)がありますが、どこまでが拠出となるのかは専門家に相談してください。
③親の口座を凍結する前に葬儀費用などを出す方法については記事番号A010を参照してください。
4.ポイント 終りに
今回は、葬儀に関するお金の事について書いてみました。
ポイントとして、葬儀費用、香典などを立て替えたときの適用や明細は必ず都度自分で整理しておいてください。領収書は忘れないでください。
相続税の計算、立替金の精算、遺産分割協議など、今後すべてに影響する可能性があるからです。
また、これらがないと、特に調停などになった場合に主張ができません。
調停の時には、領収書はただ束にしてあるだけでなく、それらがどのような目的でいくら使われたかを自分で整理し説明しなければ主張として認められず(調停員は手伝ってくれない)、自分が損することになりかねません。
厳しい言い方ですが、葬儀の段階は、相続が始まったばかりの位置です。この後に遺産分割協議が続きます。
お金については人任せにはできない。それだけは改めて認識しておいてください。
以上、誰かの参考となれば幸いです。
おまけ
ここで下記の本を紹介させてください。「相続で絶対モメない遺産分割のコツ 言葉・空気・場の読みまちがいが命取り!」という本です。
メインは遺産分割協議についてですが、老親が「亡くなる前にできる事」も書いてあります。将来相続に関わる人の入り口としてお役に立てるものと確信しております。よろしければこちらから。
また、この本を説明した記事もありますので、そちらも参考にしてください。
※このブログの記事について、読んでいただきたい順番(カテゴリ毎)にリンクを並べたページはこちらです。こちらを起点として各記事をお読み頂くとよいかと思います。