1.はじめに
「銀行は、認知症の人の口座を凍結してしまうので、そのあとは誰もお金を下ろせなくなる」という話はネット上でよく見かけます。もし自分の親の口座がそうなっては困ります。銀行に認知症と知られてしまうことがないかが気になるところです。
私の両親の例から言うと、医者が老親を認知症と診断しても、それを銀行等に連絡することはありません。認知症かもと思われる行動があっても、銀行側からは「あなたの親は認知症ですか?」と聞かれることはありませんでした。
ただし認知症の親が銀行手続きを行う際は、誰かが一緒に行き、正しく手続きをする必要があります。自分の例での経験をまとめます。
※これらの情報はあくまでも自分が経験した事例であり、銀行、支店、手続きした年月などで大きく変わる可能性がある事だけはご了承ください。
2.ポイント
ア 親が医者から認知症であるという判定を下された場合でも銀行手続きは可能。
ただし、本人が銀行窓口で自分の名前が書けることが条件。
もちろん、こちら側から認知症である旨を言ってはいけない。
イ 金融機関は、死亡届の受理により口座を凍結する
3.具体例
ア 認知症の人の銀行手続きの経験
以下の例は全て、付き添いである私が銀行に母の認知症を察知されないように、母が認知症であることは一切言わず、母に助言しながら手続きを行いました。
記事番号A006に記載の通り、無用のトラブルを避けるために身分証明書の最強ツールであるマイナンバーカードは必ず取っておいたほうが良いです。
A キャッシュカードの暗証番号がわからなくなった&印鑑紛失時の手続き(S玉県に多いM1銀行の場合)
・暗証番号の件は本人、通帳、キャッシュカード、マイナンバーカードで問題なく手続きできた。
・印鑑紛失の件は、新印鑑と上記書類で手続きできた。
付き添いの私が銀行とのやり取りを行い、最後に「ではお母さん、ここに自分の名前を書いてね」と言って署名をして上記2つの手続きを完了。
銀行もわかっているのかもしれないが、書類への署名は本人が行うことができれば(ここが重要)あえて追求してこない。
参考;暗証番号はその場で教えてもらえず、後日書留で本人住所あてに送られる。
B キャッシュカードの暗証番号がわからなくなった時の手続き(日本の全市町村にあるくらいの規模のY銀行の場合)
本人、通帳、印鑑、キャッシュカード、マイナンバーカードで問題なく手続きできた。
署名は、本人が脇にいる前提で付き添い人の代書が可能だった。
参考;暗証番号はその場で教えてもらえず、後日書留で本人住所あてに送られる。
C オンラインバンキングの暗証番号などを紛失したので、とりあえず口座を止めておく(M1銀行の場合)
代理人が電話をしただけで止められた。
しかし 再開する場合はAと同様な手続きが必要。
D しばらく使用していないキャッシュカード(通帳等紛失)の状態問い合わせ(メガバンクのM2赤銀行 の場合 )
いまこの口座は有効なのかを電話で聞こうとした。電話での問い合わせは、必ず本人であることが前提となっている。電話は私がかけ、母(認知症)に変わった。本人が電話の内容を理解するのがおぼつかなく、私が変わろうとしたところ、銀行側は母以外には一切話さなかった。
E M1銀行にある預金をY銀行の同一人物の口座に移す
本人、通帳、印鑑、マイナンバーカードで問題なく手続きできた。
署名は、本人が脇にいる前提で付き添い人の代書が可能だった。
F 定期預金の解約(M1銀行)
Aと同じだった。
イ 口座の凍結
私が金融機関に死亡届を、然るべき書類を以て申請したところ、窓口の人が「それではお父様の口座を凍結致します」と発言しました。金融機関は、この時点で故人の口座を凍結することを、私は確認しました。
4.参考
以下はネット情報であり、自分で 経験してないが記述しておきます。
農協貯金の口座は、本人の他に代理人が指定できるとのこと。
口座開設は身分証明を持参して本人が農協の窓口に行けば開設できるとの事です。
上記Eの事例の通り、本人の別口座にお金を移動させることは比較的容易なようです。
将来的な不自由を考えれば、できるだけ早く農協の口座を作り、代理人を指定の上、こちらに預金を移しておいた方がいいと思います。
もちろん、両親と話をして納得してもらっての話ですが。
5.最後に
今回は、私が経験した銀行手続き例をまとめました。
私の体験では銀行側が認知症であるかの確認はしてきませんでした。
しかし、銀行大手は厳しく、Y銀行などは比較的緩やかな印象を受けました。
できることなら、手続きの緩やかな銀行へ資産の移動を行っておきたいものです。事例Eの通り、移動は比較的緩いようですから。
今回は以上です。スムースな手続きの参考になりますように。
おまけ
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メインは遺産分割協議についてですが、老親が「亡くなる前にできる事」も書いてあります。将来相続に関わる人の入り口としてお役に立てるものと確信しております。
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また、この本を説明した記事もありますので、そちらも参考にしてください。
※このブログの記事について、読んでいただきたい順番(カテゴリ毎)にリンクを並べたページはこちらです。こちらを起点として各記事をお読み頂くとよいかと思います。