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老親を亡くした後の手続き、相続のトラブルや様々な経験を通し、知恵をまとめます。記事のリストは上のタイトルをクリックしてください。

(A008)親の死亡後の手続きを少しでもスムースにするために 自分の経験より

2022.1.16 記事全面更新

はじめに

 親が亡くなってしまった時、最初に行う手続きの時に覚えておいてほしい項目として、以下をまとめました。

 

自分の親は、いつかは亡くなります。
その時は故人への様々な感情が生まれます。その一方で、今後行わなければいけないことも気になるのが現実です。親の生前、そして亡くなった後も、遺族、特に子供たちが行うことを少しでも整理できていれば、より故人への感謝の気持ちを考える余裕が増すと思います。皆さんの場合ではそうあってほしいと考えます。
だから私はこれを書いているのです。

今回は、遺族の代表となって故人の死亡手続きと金融機関への手続きを自分で行う場合に必要な物と、それについての知識をまとめておきます。

1手続きの流れ

まずは大まかな流れを見てください。そのあと説明します。
1 親の死亡
2 医者が死亡証明書を発行(用紙は死亡届とセットになっている)
3 2の書類を役所に持っていき続きをする
4 5を行う前までに自分の全部事項証明書と印鑑証明書を取得--(ア)
5 故人の全部事項証明書(除籍)の取得--(イ)
6 故人の全部事項証明書(イより過去、出生までつながるもの)の取得--(ウ)
7 金融機関への手続き(ア、イ、ウが必要)→口座の凍結、その他の手続き

参考
・「全部事項証明書」は、昔は戸籍‘謄本’と言っていたものです。本人と家族の戸籍情報が書かれています。
・本籍に登録されている人が死亡したら、除籍になり、「全部事項証明書」にその旨記載されます(イ)。故人の死亡の根拠となります。
※イの正式名はウと同じ「全部事項証明書」なのですが、このブログでは「全部事項証明書(除籍)」と表現します。


2.説明

 2 死亡証明書について

人が死亡すると、医者は死亡診断書を発行します。
この書類は、1枚の紙に、医者が記入する欄と、役所への提出に向けて遺族が記入する欄が1枚のセットになっています。
遺族が記入する欄を書き終えたら、役所に提出する前にコピーをとって下さい。
後に年金事務所へ提出します。

 3 役所手続きについて


故人が住んでいたところの役所の住民課へ提出します。
その後は役所係員の指示通りにいくつかの窓口に行き、必要な手続きが一旦終わります。
一連の手続きの中で係員からその後の手続きについての指示があったときのためにノートを持って行ったほうがいいでしょう。

役所へは数日後以降に改めていく事になります。(5参照)

 4 自分の書類の取得について


5で述べる親の「全部事項証明書(除籍)」(イ)の取得の際、自分の「全部事項証明書」(ア)の取得が必要です。5,6の手続きへ行くまでに取得してください。自分の本籍がある役所で取得します。この書類が、故人と自分が親子であることの根拠となります。


印鑑証明書については説明を省略します(取得は自分が住む自治体の役所)。
なお、取得には自分の身分証明(免許証など)も必要です。

 5 「全部事項証明書(除籍)」について


親の死後に様々な手続きを行う際、死亡したことを証明する書類が「全部事項証明書(除籍)」です。これを取るには、死亡届を出した後の数日後以降に本籍のある役所に請求する必要があります。


故人の住民票と本籍が同じ市区町村ならば、死亡届けを出した日の翌々日以降(閉庁日を除く)に、届け出た役所で「全部事項証明書(除籍)」(イ)が取れます。

役所の人によると、戸籍の変更作業は、複数人で間違いがないかをチェックするため、死亡届を提出した直後に「全部事項証明書(除籍)」(イ)は発行できないとの事。
同じ市区町村でないならば、日数がかかります。届け出した役所から本籍地の役所への連絡、その後の作業と進むためです。


(イ)は、同じ市区町村の場合、発行までの時間を短縮する相談に乗ってくれることもあるとのことです(私が確認した町の役所の場合)。これが出来れば、忌引休暇中に「全部事項証明書(除籍)」を取得できる可能性ができるので、この取得のために改めて休暇を取る必要がなくなります。

 6 故人の全部事項証明書(出生から死亡まで)について


故人関係の書類取得の中で一番手間がかかる書類です。
この書類の目的は、故人(被相続者)についての相続人を確定することです。故人が過去に養子縁組や離婚などをしているときは、想定外の相続人が見つかる場合があります。


この書類は、故人が転籍、結婚などで別の自治体に戸籍を設け、現在に至っていた場合(ウの内容でわかる)は、以前の戸籍があった場所の役所で請求する必要があります。これを出生までさかのぼる必要があります。

 7 金融機関の手続きについて

金融機関とその他お金関係の手続きは、上記ア、イ、ウと申請者の身分証明(免許証など)が基本的に必要となります。これ以外にも必要な書類がありますが、金融機関により必要とする違うので注意してください。銀行のHPを確認してください。
故人が持っていた口座等の把握は、記事番号A010を参考にしてください。(この記事は親の生前の準備の話ですが、行えなかった場合は親が亡くなったあとに行うことになります。)

 

3.参考

故人が住民票での世帯主だった場合は、新しい世帯主を決める必要があるので、予め決めておく事が必要です。これは故人の同居家族の誰かとなるのが普通でしょう。

なお、ここでいう世帯主は、実家の家の固定資産税の支払いとは関係ありません。固定資産税の請求は、相続が完了していれば新しい持ち主に通知が行きます。
未決の場合は、役所から誰が払うのかの問い合わせが来ます。10月くらいに翌年の請求先について、故人の家あてに文書が送られてきます。

4.おわりに

今回は、親が亡くなった直後に取得する書類についてまとめました。
必要な書類取得など、予めわかることを把握しておくことは、故人を想う余裕につながると思います。この記事がそれの一助となりますように。

 

おまけ

ここで下記の本を紹介させてください。「相続で絶対モメない遺産分割のコツ 言葉・空気・場の読みまちがいが命取り!」という本です。

メインは遺産分割協議についてですが、老親が「亡くなる前にできる事」も書いてあります。将来相続に関わる人の入り口としてお役に立てるものと確信しております。よろしければこちらから。

また、この本を説明した記事もありますので、そちらも参考にしてください。

 

 

 

※このブログの記事について、読んでいただきたい順番(カテゴリ毎)にリンクを並べたページはこちらです。こちらを起点として各記事をお読み頂くとよいかと思います。

 

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