相続の経験をまとめます。

老親を亡くした後の手続き、相続のトラブルや様々な経験を通し、知恵をまとめます。記事のリストは上のタイトルをクリックしてください。

(A003)私の事例の背景

A002に続き、私の実家について記載しておきます。

 

 

1.はじめに

 

私の立場やここまでに至る背景そして兄の性格を理解して頂くと、私が亡父の資産調査と代表相続人として行動している経緯や、後に争いとなっていく理由、さらに続く遺産分割協議の主張へのつながりを少しでもわかっていただけるのではと思います。

 

 

 

2.背景

 A 兄のパラサイト

 

兄は一人暮らしの経験はなく、実家から会社に勤め続けていました。しかし、家のことは一切していませんでした。近年も両親の変化を間近に見ていても一切関わらず、自分のことだけしかしないパラサイト生活を続けていました。親に対しては、母の用意する晩飯に文句をつけることと、父の認知症の症状を小馬鹿にすることしか行っていませんでした。

またある時、判断能力が劣ってきた父に対し、銀行が条件の悪い保険契約をさせたトラブルの時も、兄は目の前の状況を「他人(父)の金だから俺は知らない」といって関わろうとしませんでした。

他にも、父が車の運転をやめること、運転免許を返納させる事などがありましたが、これらすべては私が対応しました。

 

 B 私の提案

 

父の認知症が進んできたある日、私は

「このままでは母も認知症になる。兄弟で協力体制を築く必要がある」

と兄に提案を行いました。

しかし兄は、相変わらず「それならばお前がやれ」という言葉の下、一切動きませんでした。

兄は昔から親への依存が高い人で、上記はほんの一例です。親が老いていく中でも依然としてこのような言動に終始する兄は、説得しても変わることはありませんでした。私は、どうにか兄の考えを変えることはできないものか考えていました。

ある時私は、兄に「少しは成長しろ」と言いました。弟にこれを言われたら、兄は当然怒るでしょう。しかしその後考えを変えるのでは、という淡い期待を持っていました。

兄は、人が変わったように猛然と怒りだし、私にマグカップを投げつけてきました。反応は予想通りでした。その後私は兄を説得するのをやめ、兄に変化があるか様子を見てみることとしました。

 

 C 父の入院とその後

 

その後、父に認知症との診断が下りました。しかし日々の父の世話は母が全て負っていました。同居の兄は依然として一切関わらなかったので、母に重圧がかかっていて、そのためか認知症の兆候が出てきていました。 

夏のある日、両親二人は熱中症で倒れてしまいました。これを機に父が介護施設に入ることとなりました。

ここで私は最後の手段に出ました。私は実家に関与すること一旦控え、兄を強制的に家に関わらせることにより自覚を促す行動に出ました。私が少しでも手伝うと、その後すべてを私に依存してくることは明白です。兄を変え、兄弟の協力体制を何としても作り、両親の世話をしなければいけない。そう考えました。

両親のことが心配でなりませんでしたが、これが兄に変わってもらう最後のチャンスと自分に言い聞かせ、 私は兄からの電話に一切出ませんでした。今までパラサイトだった兄は、この時点から父の施設対応、認知症が進行していく母の対応を、自身の仕事の傍ら一気に負わざるを得なくなりました。

 

 D 父の死

 

しばらくして病院から電話があり、父が誤嚥性肺炎で亡くなった事を知りました。

父の死を機会に兄と再会した時の話によると、兄はその後、会社勤めの傍ら、父の介護施設への短期入所の繰り返し対応、父の病院への移転、また入院中の世話の一切を行ったそうです。

また、母の世話については、ケアマネージャーの指導のもと何とか行ったそうです。この間に母は認知症の診断が下りましたが、大きく体調を崩すことはなかったようです。

両親の介護ついては、兄は変わったのだと思いました。しかし別の問題が出てきました。

 

 E 驚き

 

私が兄との連絡を絶つ前に、紛失防止目的で私の家に予め隔離してあった父の預金通帳、印鑑、キャッシュカードを兄に渡しました。ある程度の金額がありましたのでどのように使うか不安はありましたが、両親の介護がお金の原因で受けられないようなことがないようにするためです。

しかし兄はすぐこれらを母に預けてしまいました。母に認知症の兆候がすでにあったのに、この時点でも兄は財産管理を母に依存しようとしたのです。そして母は案の定、すべて紛失させてしまったとの事。兄はこのような話を私にして、母が失くしやがったので苦労した、と平然と言っていたのです。

私は、当然兄がこの財産を管理し、介護対応していくものと考えていました。しかしその想像はあっさり裏切られました。家のことで大変なのはわかりますが、この時点でも自分で財産管理をしなかった。母に依存していた。通帳等をなくしたことに悪態をついた。

私は、ここまで他人に依存する考えを持つ兄について、今後どのように付き合っていけばいいものか改めて途方にくれました。

また、この時点で母のキャッシュカードも暗証番号がわからなくなっていたので、あらゆる費用は兄の口座から出していたとの事。兄は決して裕福ではないだろうから、これが長く続くリスクを考えたことはなかったのだろうか。

 

 F 決意

 

このような兄に亡父と母の財産管理を兄に任せたら、不明や紛失が多く発生し、全てを失うことにもなりかねない。ましてや遺産分割協議など任せられないと考え、両親の財産管理と遺産分割協議をすべて私中心で行うことを決意しました。

私は、実家にあるすべての財産関係の書類を私のもとに引き寄せ、父の財産調査と母の財産管理を開始しました。兄は、私を疑うことなく、私に任せるという態度でした。財産管理の一切を私に依存しはじめたのでしょう。

その後、私が実施した財産の調査結果をもとに、遺産分割協議の話し合いを開始しました。兄は、その後も私が財産を独り占めするのではという疑いを一切持っていないようです。

 ※母は、父の葬儀がひと段落したところでグループホームに入所しました。ケアマネージャーの提案でした。

 

前回、今回と私の実家の事について書きました。このような背景を踏まえ、私はその後の一連の対応を行ってきました。

次回からは財産調査や銀行や役所へのやりとり経験、そしてそこから得られた知恵について順次書いていきたいと思います。

 

おまけ

 

ここで下記の本を紹介させてください。「相続で絶対モメない遺産分割のコツ 言葉・空気・場の読みまちがいが命取り!」という本です。

メインは遺産分割協議についてですが、老親が「亡くなる前にできる事」も書いてあります。将来相続に関わる人の入り口としてお役に立てるものと確信しております。よろしければこちらから。

また、この本を説明した記事もありますので、そちらも参考にしてください。

 

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